2021年2月1日にDEVNET INTERNATIONALの理事に新たに任命され、同時にDEVNETタイ支部長に任命されましたタナワン・ブッパン博士です。タイの国営運河プロジェクトに携われることを心から嬉しく誇りに思います。

私は首都バンコクで生まれ、30年間を米国で過ごしました。アリゾナ大学で機械工学の学士号を取得した後、生産工学部で修士号と博士号を取得し、エンジニアリングと国際ビジネス管理の両方のスキルを習得しました。大学在学中はいくつかのグローバルな優良企業で働き、卒業後はモトローラに入社し、NASAをサポートするエンジニアリング部門で働き、アポロ14号と15号のミッションの成功に貢献しました。

その後、スペースシャトルのモックアップ、レーダー、衛星、携帯電話のアンプチップを設計しました。米国で長い間貴重な経験を積んだ後、私はタイに戻り、祖国のさらなる発展のために自分の知識を生かすことにしました。それ以来、タイ国王の補佐官として、人工降雨、通信、最近では廃棄物からエネルギーへの変換、太陽エネルギーを含むグリーンテクノロジー関連の開発など、多くのプロジェクトに携わってきました。

プミポン国王は1955年11月に「タイ国王雨量計画」で干ばつに苦しむタイの農民の救済を目指しました。当時、タイの農地の82%以上が自然の降雨に頼っており、多くのタイの農民が水不足に悩まされていました。その後、1969年7月20日にカオヤイ国立公園で人工降雨が実施され、1971年にはタイ農業協同組合省内に人工降雨研究開発プロジェクトが設立されました。

タイ国土の大半が水不足に悩まされている中、首都バンコクでは地下水の過剰汲み上げによる地盤沈下が年々深刻化し、浸水被害が深刻化しています。世界銀行の報告によると、2030年までに都市の一部(40%?)が水没する可能性があるとのこと。今や、地下水過剰問題はASEAN大都市共通の課題となっています。こうした背景から、私はタイで洪水が発生した際にタイ赤十字社を支援する「タナワン・ブッパン救援財団」を設立しました。

さらに、私のチームは、関連技術を使用してタイの貧困削減のために北部農業プロジェクトと冷水果樹園ロイヤルプロジェクトの成功に貢献しました。また、タイの通信システムの開発に重点を置きながら、政府機関や民間組織のコンサルタントとしても働いています。無線ネットワークの基地局を建設するために、Rungakeraya Engineering Company Limited(RA)を設立しました。さらに、私のチームは、ミャンマーの石炭プロジェクト、環境問題に対処するためのバイオマス発電所の建設、その他の先進技術の導入など、いくつかのプロジェクトに取り組んでいます。

このタイ運河の総合開発では、これまで進めてきた事業のノウハウを全て活かし、「持続可能な街づくり」に取り組んでいきます。中でも、仏教の教えに基づく「足るを知る経済」の理論を実践していきたいと思っています。これは、1997年にプミポン国王がアジア通貨危機からタイを救う方法として自給自足の経済を提唱したことに始まります。タイ人は皆、自分たちの経済で食える暮らしをしたいと考えていました。「足るを知る経済」とも呼ばれる貪欲を戒める戒律が根底にあります。本来、経済の意味は「各家庭の需要を満たす活動」であり、いたずらに規模の大小を競うものではありません。

全てが一体となった巨大都市ではなく、自立した小さな経済圏を繋ぎ集約することで、エネルギー効率が高く災害に強い大都市圏を創ります。タイ運河計画は、観光都市として開発が進むプーケット市や、タイ全土100都市で推進するスマートシティとも連携し、2050年の未来を見据えた総合都市づくりを目指しています。現在、タイ王国全土で大規模インフラプロジェクトが多数同時並行で建設中で、2024年以降も次々と完成していきます。タイ運河開発は、それらの大規模開発の総決算となるはずです。DEVNETタイ支社の設立は、まさにそのスタートラインに立つものです。

このプロジェクトは完成すれば、マハ・ワチラロンコン国王の歴史的偉業として後世に受け継がれることになるでしょう。

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